トピック

米国における法人形態の選択について
米国における法人組織の種類
Corporation

Branch Office
Representative Office
Sole Proprietorship
General Partnership
Limited Partnership
Limited Liability Company
Limited Liability Partnership

米国の法人組織に関するよくある質問(FAQs)
会社法上の区別
駐在員事務所と法人税
駐在員事務所か支店かの結論
子会社のメリット - 有限責任
支店のメリット - 日本における税金対策
Statement of Information による開示義務
Q&A カリフォルニアにおける自宅兼事務所について

米国における法人設立形態について
C Corporation
Close Corporation
S Corporation

ビザの種類について

B ビザについて
E ビザについて
H ビザについて
J ビザについて
L ビザについて
E ビザ・L ビザ保持者の配偶者の就労許可書
新出入国記録管理システム(US VISIT)の導入

おわりに

 

 

米国における法人形態の選択について

米国における法人組織の種類

日本の会社が米国に進出してビジネスを行おうとする際に、はじめに考えなければいけないことが、米国ではどのような法人組織を採用するべきかどうかということです。以下、米国の法人組織にはどのようなものがあるかを説明します。

−Corporation−

Corporation とは、最も普通の幅広く採用されている会社組織で日本の株式会社とほぼ同義語です。一番の特徴は株主の責任は出資金を限度とする、という有限責任制度を採用していることにあります。このcorporation の中にも、Close Corporation、C Corporation および S Corporation と呼ばれる種類の会社があり、それらはどういう違いがあるのかは後ほど詳しく説明いたします。

−Branch Office−

Branch Office とは、日本語では支店に該当します。支店は本社の一部で、支店で発生した責任は本社の責任でもあり、本社は支店において発生した責任については無限責任を 負います。他方、支店の維持、運営にかかる経費は、本社の経費として税金上扱うことができます。

−Representative Office−

Representative Office とは、Liaison Office とも呼ばれ、日本語では駐在員事務所と呼ばれているものです。活動内容が小規模で、直接的に営利に結びつかない、情報収集、研究開発活動、または日本の本 社の米国における活動の補助行為などに限られている場合に採用される事務所形態として、昔から説明されてきたものです。これは上記の支店ではないから支店 登録等の会社法上の登記手続は要らないと説明され、極端な場合には、一切の法人税も払わないで済む、と説明されることもあるようです。それらの説明が本当 かどうかを含め、後に詳細に説明します。

−Sole Proprietorship−

日本でも、法人組織を作らず事業を行う人がいますが、それは米国でも同じです。単独で、小規模な商店を経営したりする人や、小規模な大工や水道工事屋さんなどは、個人事業主であることが多いようです。このような個人事業を米国ではSole Proprietorship と呼んでいます。これをはじめるには何の法律上の設立手続きも要りません。このガイドブックの目的からは、この形態は関係がないので、これ以上の説明はいたしません。

−General Partnership−

General Partnership(以下「GP」といいます。)とは、二人以上の個人または法人が、共同で営利のためにビジネスを行う場合の法人組織の一つで、参加 する個人または法人(パートナーと呼ばれます。)とは別個の法人格を持つものです。日本での合名会社または組合に近い法人組織です。以下の特徴を備えてい ます。

まず、GP は当事者間の契約だけで成立し、他の法人と異なり、設立のために官庁(Secretary of State Office)への届出や登録は不要です。パートナーの一人一人が、それぞれ単独でGP を代表できる権限を有し(別の言い方をすれば、一人のパートナーがGP を拘束する法律行為を行うことができます。)、それぞれのパートナーがGP の責任について、無限の連帯責任(Joint and Several Liability)を負うことになります。

パートナー間の無用の争いを避けるためにどのような取決めで共同の事業を行うかについて合意した内容を記載した契約書(General Partnership Agreement)を作成したほうがいいことは間違いありませんが、書面がなくてもGP は設立され、当事者の合意がない部分の争いは法律の解釈によって解決されことになります。

こ の設立のために書面も官庁への届出もいらないという簡便性が、GP の一つのメリットです。また、GP の経営については、株式会社のように一定の事項は必ず取締役会の決議を経て、さらに一定の事項は株主総会の承認を得なければならない、というような厳格な 手続きを経る必要がなく、柔軟に行うことができます。

こ の点もメリットに数えられます。また、GP は構成員であるパートナーとは別の法的主体ですが、税金はGP のレベルでは法人税の支払い義務はなく、構成員であるパートナーレベルでだけ納税義務を負うことになります。このように、法人レベルの法人税の納税義務を 負わない法人をpass through entity と呼んでいます。日本語でいうと、「通り抜け法人」とでも言いましょうか。それもメリットの一つです。

他方、デメリットは、パートナーがすべて無限の連帯責任を負わなければならないことで、これは実際上、ビジネス活動を行うにあたって決定的に危険なことです。実際のところ、GP という形式を使う場合であっても、パートナーは法人であることが多いのが実態で、個人が直接無限責任を負うことのないようにするのが普通です。
このGP という法人組織は、日本の会社が子会社を設立する場合にはとくに選択すべき形態ではありません。そもそもPartnership を組織するためには、二人以上のパートナーの存在が必要です。

100%子会社の場合には当然株主は一人で、一人ではPartnership は組織できません。次に、米国での責任問題が日本の本社に及ばないようにするには、パートナーが無限責任を負うGP という組織は当然適切ではありません。

さらに、法人レベルでの税金支払いの義務のない pass through entity であるということは、逆にいうと、パートナーレベルでは税金申告の義務があることを意味します。

し たがって、日本の会社が米国でGP のパートナーになるということは日本の会社自体が米国での税金申告の主体にならなければならないことを意味します。日本の会社が米国での直接の税金申告義 務を回避する、というのが、米国進出における法人選択のポイントの一つと考えるならば、その観点からGP は好ましい法人形態ではありません。

−Limited Partnership−

Partnership の一種として、Limited Partnership(以下「LP」といいます。)というのがあります。これは、Partnership の経営権限を有するとともに、Partnership の活動から発生する経済上の損失について無限責任を負担するジェネラル・パートナー(General Partner)が一人以上(個人又は法人)存在し、経営権限はなく、出資金の範囲での有限責任を負う、リミッテド・パートナ−(Limited Partner)が一人以上(個人又は法人)存在する Partnership のことを意味します。税金上の取り扱いはGP と同じで、pass through entity です。日本では合資会社にあたると考えられます。無限責任のpartnership と有限責任の株式会社を組み合わせた法人組織です。この組織には以下のような特徴があります。

まず、リミテッド・パートナーは自分の出資した金額の範囲内で責任を負えばたり、それは株式会社の株主と同様です。そして、LP への出資は法律上、株式への出資と同様に扱われます。LP を設立する手続きは、有限責任のリミッテド・パートナーがいるために、GP のように簡単ではありません。まず、名前自体に、Limited Partnership または、その略であるLP をつけなくてはなりません。

LP の場合もGP の場合と同様に、パートナー間の契約で成立しますが、書面による必要はありません。ただ、この当事者間での契約だけではLP の設立はできません。官庁(Secretary of State Office)への登録が必要です。そのための申請書は、Certificate of Limited Partnership と呼ばれます。後に詳しく説明する corporation の articles ofincorporation(定款)に該当します。この組織も日本の会社が100%子会社を設立する場合には適切ではありません。理由は上述したGP での説明とほぼ同じです。

−Limited Liability Company−

こ のlimited liability company(以下「LLC」といいます。)を直訳すると有限責任会社となるため、日本での有限会社のようなものかと、推測する人がいますが、大きく異 なります。日本の有限会社は、株式会社の小型版で、資本金300 万円で設立でき、遵守すべき法律規則も株主会社より簡易になっています。米国のcorporation には、そもそも最低資本金額という概念がないため、日本の有限会社は米国では通常のcorporation の一種と考えたほうが適切です。

た だ、米国のcorporation には最低資本金という概念がないからといって、資本金はどんな小額でもいいかというとそうではありません。その会社が行うビジネスに応じた資本金を入れる 必要があり、不十分な金額であると有限責任性を否定されかねないので注意が必要です。

LLC とは、有限責任の株式会社のメリットとpass through entity でかつ経営が柔軟にできるというパートナーシップのメリットの双方を享受できる法人組織です。まず言葉の知識ですが、LLC への出資者は株主(stockholder or shareholder)でもなく、パートナーでもなく、メンバー(member)と呼ばれます、LLC のメンバーはいずれも有限責任によって守られており、その立場は、株式会社における株主、または、LP におけるリミッテド・パートナーに近いものです。

それでいて、会社レベルでの課税はされないのが原則のpass through entity ということですから、理想的な法人組織といえます。
しかし、日本の会社の子会社として採用されることは稀です。
なぜかというと、pass through entity の常ですが、会社レベルで課税されないということは、利益の帰属する当事者(LLC の場合にはメンバーになります。)のレベルで課税されることを意味し、日本の会社がLLC のメンバーになれば本社そのものが米国での直接の課税の対象となってしまうからです。

LLC が役に立つのは、たとえば、米国で普通の corporation を子会社として設立した上で、その子会社と米国の会社とのJoint Venture を行うときの組織としてLLC を使うときだといえます。LLC の設立方法を簡単に説明します。

名前にはLimited Liability Company とつけるか、その略であるLLC をつけなければなりません。
次に、LLC において、株式会社の株式にあたるものは、メンバーシップ・インテレスト(membership interest)と呼ばれます。LLC の場合も、GP やLP のようにメンバー間で契約を結ぶことが必要で、それは書面による必要はありませんが、この当事者間での契約だけではLLC の設立はできません(このメンバー間のLLC の運営に関する契約はOperating Agreement と呼ばれます。
書面で契約することは法律上の義務ではありませんが、無用な争いを避けるために書面で結ぶべきです。)。

官庁(Secretary of State Office)への登録が必要です。そのための申請書は、articles of organization と呼ばれます。ところで、LLC はpartnership とcorporation の両方の性格を持つもので、その partnership の性格の面から、LLP の設立のためには二人以上のメンバーが必要である、という考え方があります。
この考え方に基づいて、以前カリフォルニアでは、二人以上のメンバーがいなければLLC の設立をすることができませんでした。しかし、最近法律が変わり、一人のメンバーでもLLC を設立することができるようになりました(One Member LLC と呼ばれます。)。

−Limited Liability Partnership−

ついでに、リミッテド・ライアビリティー・パートナーシップ( Limited Liability Partnership、以下「LLP」といいます。)という組織を説明します。
日本の会社を含め、通常のビジネスを行うと考えている会社や個人にとってはまったく関係のない組織です。これは、弁護士と会計士のために認められた有限責 任の法人組織です。この組織形態が認められる前は、弁護士や会計士は、GP として、法律事務所や会計事務所を作らなければなりませんでした。
GPにおいてはそのパートナーは無限の連帯責任を負わねばならず、弁護士や会計士は、経済的にかなり恐ろしい立場にたたされていました。今は、弁護士や会計士もこのLLP という組織を選択することによって、かなり株式会社に近いような組織で活動することができるようになったのです。

米国の法人組織に関するよくある質問(FAQs)

米国への進出を考える会社の担当者から弁護士がよく受ける質問や要望には以下のようなものがあります。

Q1 :はじめは一人の駐在員だけで、市場調査とか日本の本社の出張者が米国で活動するときの援助だけを行い、その駐在員は商品の販売等の営業活動は行わないの で、子会社や支店のような大袈裟なものの設立ではなく、簡単な駐在員事務所をおきたいと思います。米国で事務所を開くためには支店の設立が必要と聞いたこ とがあります。支店までは考えていないのですが、駐在員事務所と支店とはどう違うのでしょうか。

Q2 : はじめから子会社にするのは社内の調整が大変なので、まずは支店を設立しようと思っていますが、そもそも支店と子会社のどちらにするのが有利なのでしょうか。

Q3 : はじめは一人の駐在員だけではじめ、規模も小さいので、費用を節約するために、駐在員の住居をビジネスのための子会社または支店の事務所としても使いたいのですが、問題ないでしょうか。

Q4 : まずは支店を設立して、その後様子を見てから子会社に組織替えしたいと思っていますが、どのようにしたらいいでしょうか。

Q5 : はじめから会社の設立をするのですが、デラウェアー州の法人が有利と聞いたので、それを選択したいと思います。しかし実際の事務所はカリフォルニア州のシリコンバレーにおく場合、それはどうすればいいのでしょうか。

Q6 : そもそも、デラウェアー州の会社が有利というのは本当でしょうか。デラウェアー州の法人にするメリットは何なのでしょうか。

米国への進出を考えたことのある会社の担当者は、以上のような疑問を持ったことがあることと思います。以下、それらの疑問にお答えします。


駐在員事務所か支店か?

−会社法上の区別−

上記のよく聞かれる質問の1)に関する問題です。結論を先に申し上げれば、仮に米国での活動がかなり限定的なものであるとしても、支店を選ぶべきです。
米国への進出形態としての駐在員事務所については、販売活動や営業活動を行わない駐在員事務所にすれば、支店ではないから支店登録等の会社法上の登記手続 も要らないし、一切の法人税も払わないで済む、と説明されたりしているようです。この説明は必ずしも間違いではありません。法律上の解釈としても成り立ち そうです。
しかし、この形態は法律義務遵守に関しては保守的な弁護士からすると、お勧めできるものではありません。なぜかと申しますと、そのような駐在員事務所という存在を明確に肯定している規定は、カリフォルニア州会社法のどこにもないからです。

カリフォルニア州会社法では、州外または外国の会社は一定の登録手続きを行って、カリフォルニア州の州務長官( California Secretary of State ) から州外法人登録証明書(Certificate of Qualification to do business in California)を取得しなければ、カリフォルニア州内で、ビジネスに従事してはならないと規定しています。

この州外法人登録をすることを通常、支店登録といっています。したがって、法律上の言葉の意味としては、このような支店登録をした事務所を支店と呼び、支店登録をしない事務所を駐在員事務所と呼ぶのが通常です。

しかし、この区別は、実際上は厳密にされているわけではなく、駐在員事務所といいながら実はこの登録はしている場合もよくあります。その場合は、法律上では支店であるが、それを事実上駐在員事務所と呼んでいるだけなのです。

い ずれにせよ、大切なことはカリフォルニア州内でビジネスに従事する以上、この支店登録をする義務がある、ということです。では、このカリフォルニア州内で ビジネスに従事するとはどういうことか、直接的に利益を生む販売活動や営業活動のようなことだけを意味するのか、調査活動や、商品開発活動、および日本の 本社の活動への補助行為なども含むのか、が問題になります。
しかし、カリフォルニア州会社法には、この「州内でビジネスに従事すること」とは何かについて、明確な定義規定はありません。

単に、州内でビジネスに従事することとは「州内で継続的かつ反復的なビジネス取引に従事すること。」(英語では”entering into repeated and successive transactions of its business in this state.”と書いてあります)と規定してあるだけで、継続性が要件となっていることがわかりますが、それ以外はほとんど同じことの繰り返しです。

こ の英語でのtransactions という言葉は日本語では一般に「取引」と訳されていて、ここから、このビジネスというのはあくまで、「販売活動」または、「直接営利につながる営業活動」 に限定される、という解釈がでてくるわけですが、実際はもっと広く解釈されています。

カ リフォルニア州会社法では、カリフォルニアの銀行に銀行口座を持っていてもビジネスをしていることにはならない、とか、独立した第三者を通してカリフォル ニアで販売活動をすること、カリフォルニアで取締役会を開くことなどはカリフォルニアでビジネスをしたことにはならない、という消極的な形の規定があるだ けです。

判 例などでは、その会社の活動を総合評価して決定されており、その判断の要素としては、カリフォルニアで事務所を持っているかどうか、常時カリフォルニアで 働く従業員や代理人を持っているかどうか、直接間接の営業活動に従事しているかどうか、仕入れ活動を行っているかどうか、不動産を購入したりしているかど うか、債権回収活動などを行っているかどうか、等を考慮してまさにケースバイケースで判断されています。

会社の活動というのは、それが単に情報収集であろうと、商品開発活動であろうと、本社からの出張者のためにホテルの予約を取ったり、相手方とのミーティン グのアレンジをしたり、通訳のために同行したりする補助的な活動であろうと、すべて本来的に営利のために行っているものといえます。
したがって、それらはすべて「ビジネス」である、という考えも可能となります。

ビ ジネスというのは、それだけあいまいで幅広い概念であるため、どこまでどのような活動をしたら、支店登録をしなければいけないのかの判断基準は、本来的に 不明確であるとしか言えません。他方で、本来支店登録をしなければいけないのに、支店登録をしないで「ビジネス」に従事した、と認定されますと、相当な金 額のペナルティーを課される危険性もあります。

条文上は、支店登録をしなければいけないことを知りながら違反を続けると、1 日あたり20 ドルのペナルティーを支払なければいけないことになっています。

したがって、駐在員事務所にするか支店にするかと迷ったら、支店登録をしてしまったほうが確実に安全です。情報収集だけが本来の目的といいながら、必要があれば迅速に他の活動にも従事することになるのがビジネスの実態ではないでしょうか。

たとえば、米国の他の会社が日本本社の商品やサービスに興味を持ったりしていることがわかれば、その会社に行って、プレゼンテーションをしようという事態もいつ起こるかわかりません。

このようなときに、支店登録をしていない駐在員事務所であれば、そのような活動に従事することはできない、ということにもなってしまうのです。

−駐在員事務所と法人税−

前述しましたとおり駐在員事務所であれば法人税を支払わなくてもいい、と説明されることがあります。もしそれが本当ならきわめて大きなメリットです。これは正しいか、というと、正しくないのです。本来これは会計士の分野ですので、説明は簡単に済ませます。

米国での法人税は、連邦税と州税との2 種類があります。まず、連邦税については、外国法人が連邦税を払う義務があるかどうかと、支店登録をするかどうかとは関係はまったくありません。

外国法人の米国での活動・存在が、恒常的なものとして確立されたといえる状態までになっているかどうか(Permanent Establishment)という判断によって、連邦法人税の支払い義務および申告義務が発生するかどうかが決定されるため、支店登録したかどうかは関係ありません。

州 の法人税についても、本質的には支店登録手続きと法人税は直接の関係はありません。カリフォルニア州の法人税の対象になるかどうかは、税法上「州内でビジ ネスを行っているかどうか」で決定されることになっています。実際上は、会社登録や支店登録を担当するSecretary of State(SOS)と税金当局であるFranchise Tax Board(FTB)は連携していて、SOS に支店登録をするとSOS からFTB に連絡が行くようになっています。その意味で、支店登録をすれば間違いなく州の法人税の申告義務を負担することになります。

では、支店登録をしなければ、州の法人税申告義務を免れることができるかといいますと、かならずしもそうはなりません。支店登録をしていなくても、FTB がその事務所がカリフォルニアでビジネスをしていると認定すれば、法人税を課してくることになるのです。ここでも、では、「ビジネス」とは何か、という問題になるわけですが、FTB によるその認定の判断基準の実態は、きわめて単純です。

FTB は、外国法人がカリフォルニアのどこかで事務所を開いている、または、常勤の従業員が活動していると知れば、その活動の内容を問わず、法人税を払うように と要求する通知を送ってくるのです。理屈のうえでは、このような通知を受け取ったときに、自分達の活動は単なる情報収集活動であり、ビジネスではないから 法人税の支払い義務はない、と裁判して争う、ということも考えられます。

しかし、カリフォルニアの法人税の金額はミニマムで年間800 ドルであるため、年間800 ドル支払いなさい、と要求されたら、「はい、わかりました。」といって支払ってしまったほうが、裁判するよりはるかに安く済むのが実態です。
以上の実態から、支店登録をしないで、駐在員事務所を設立してそれを維持している会社も、州の法人税は払っているのが普通です。

−駐在員事務所か支店かの結論−

以 上、説明してきたとおり法人税申告義務に関しては、支店登録をしたかどうか格別関係はなく、それが支店登録をしないメリットにはならないことはご理解いた だけたかと思います。その他についても、支店登録をしないで、駐在員事務所を選ぶ実質的なメリットは私の知る限り格別ないと言ってよいかと思います。

あ えてメリットを考えれば、支店登録をするための費用と手間を省ける、そして、閉鎖するときには、支店登録がないため、支店登録抹消のための手続きの費用と 手間を省けるということぐらいでしょうか。他方で、デメリットとしては、いつも活動の範囲に注意をしなければならず、万が一支店登録をしなければ従事する ことを許されないビジネスを行ったと認定されたときには、ペナルティーを課される恐れを抱えながら活動を続けねばならず、実際に違反を認定されたら、ペナ ルティーを課されることにもなることです。

このようなデメリットとメリットを比べてみれば、支店登録をしたほうが安全であるというアドバイスも十分理解してもらえるのではないかと思います。

支店か子会社か?

−子会社のメリット - 有限責任−

支 店と子会社どちらを選択すべきかについて説明します。上記に上げた2)の質問です。これについてもはじめに結論を言いますと、子会社を設立するほうが妥当 でしょう。その理由は、子会社のメリットである有限責任性にあります。子会社はいくら100%の子会社であっても、制度上責任の主体としてはまったくの別 の組織になります。

し たがって、子会社の活動によって他社から損害賠償責任を追求する裁判を起こされたとしても、その責任は子会社の責任としてとどまり、親会社にまで責任が及 ばないのが原則です。それに対し、支店は、本社の一部であり、日本の本社が米国で直接ストレートにビジネスをしていることと同じですので、裁判が起こされ る場合被告にされるのは日本の本社そのものになります。

税務上の責任についても同じことが言えます。支店であれば、日本の本社そのものが米国での法人税の申告義務があることになります。カリフォルニアの税法上、本来、その会社の全世界での活動について申告義務が出てきます。

ただ、この点は、カリフォルニア州内での活動に限定して税金申告をすることを選べますので、実質的には子会社と差はありませんが、それでも、本社自体が連邦のIRS およびカリフォルニア州のFTB という税金当局と対応しなければなりません。子会社であればこのようなことはなく、税金申告義務も子会社レベルで完結するのです。

裁 判を起こされることに関しては、「当社は米国での活動は限定的なものにし、他社との取引などは考えていないので、裁判を起こされるようなことはないと思い ます。」と、いわれることがあります。しかし、外部との取引等がなくても、米国で従業員を雇えば、労務問題が発生します。たとえば、雇った現地の米国人と 駐在員との間で、セクシャルハラスメント問題などが起こった場合、支店であれば現地の米国人は直接日本の本社を被告に裁判をしてくることになります。

もし、子会社であれば、株主である親会社の責任を追求できないのが原則です。もちろん、子会社の場合であっても、親会社も被告に含められることは珍しいことではありません。

子 会社の規模が小さく、資金力も小さい場合、多額の損害賠償義務を負担できるのは資金力のある親会社であるとの判断から、あえて子会社とともに親会社も被告 にしてくることもあります。その意味で、支店ではなく子会社にすれば、子会社を巡る一切の裁判を避けられる、とはいえません。裁判自体は起こされてしまう かもしれません。

しかし、会社の有限責任性は、米国でも資本主義の根幹との位置付けをされており、簡単には否定されないものです。子会社の有限責任、これこそが、弁護士が支店ではなく、はじめから子会社を選択することを進める最大の理由です。

−支店のメリット - 日本における税金対策−

他方、支店からはじめたほうがいいというのも、日本の本社の税金対策上は合理性があるようです。日本の親会社が、海外子会社の経費を直接負担することは会計上もちろん妥当ではなく、その経費は日本の税務上経費としては扱われません。

そ こで、子会社の目的が、多くの場合、親会社に対するサービスの提供であることから、親会社と子会社間のサービス契約書を作成して、子会社の運営維持に必要 な経費をカバーするのに充分な金額を、子会社が提供するサービスの対価として親会社が払う、というアレンジメントを行うことが多くあります。

こ の場合、親会社が支払う金額は実際に子会社が提供するサービスへの対価にあたるため、当然経費として落ちるはずである、と思う人が多いと思いますが、日本 の税務当局はこれを簡単には認めてくれないようです。子会社を維持するための経費は相当な高額となります。なぜなら、日本から送る駐在員に対する給料は現 地の住宅費や自動車代等も含むのが普通で、その他の諸手当を含めるとそれだけで相当な高額となってしまうからです。

さ らに事務所の家賃もカリフォルニア、ことにシリコンバレーでは大変高くなっています。ところが、できたばかりの子会社が機能し始めるには時間がかかり、親 会社がサービス料として支払う金額に比較して、それだけの価値のあるサービスを提供できるようになるまではかなり時間がかかります。いつまで経ってもそれ だけの価値あるサービスの提供はできないかもしれません。

こ のような観点から、日本の税務当局は、親会社が海外子会社に払うサービス料については受け取るサービスの内容の対価としてはそぐわないと判断して、全額を 経費としては認めてくれないのだそうです。それに比べて、支店なら支店の維持のための費用が本社の経費として落とせることについては問題が起こりません。 なぜなら、支店は本社の一部であって、自分自身だからです。

こ の観点から日本の会社が米国に進出する場合には、まずは支店からはじめる、という方針をとるのも合理性はあります。しかし、有限責任の重要性から子会社の ほうを選ぶべきだと考えることの合理性がなくなったわけではありません。それぞれの会社の事情と米国でのビジネスが裁判問題に発展するような危険性をどの 程度含んでいるようなものなのか等を判断要素として、当初の税金対策を優先するか、米国の裁判等の危険から親会社を守ることを優先するか、ビジネスジャッ ジメントで決めるしかないでしょう。

−Statement of Information による開示義務−

こ の支店か子会社かを選択するにあたって考慮すべき事情が最近一つ増えました。2003 年1月1 日以降、日本の本社が日本において上場会社である場合には、支店を選択することのデメリットが一つ増えました。カリフォルニア州で設立した会社、または、 支店登録した全ての会社は、一定の会社情報を記載した Statement by Information を、1 年に一回 Secretary of State Office へ登録することが要求されています。

そ して、その Statement の中で、外国において上場している会社の支店がカリフォルニア州にある場合、本社について以下のような情報を開示しなければならなくなりました。本社の取 締役が会社から受け取る報酬の内容、取締役に会社がお金を貸している場合には、その金額、返済条件等、および、その会社、取締役、役員が過去10 年間に、破産手続きを取ったことがあるかどうか、詐欺などで有罪になったことがあるかどうか等です。上場会社がこれらの情報の開示を避けたい場合は、支店 を選択しないほうがいいということになります。

Q&A カリフォルニアにおける自宅兼事務所について

カ リフォル二ア州、ことにサンフランシスコやシリコンバレーは、住居も事務所も家賃が極めて高いことで有名です。この地域に初めて進出する会社の担当者か ら、はじめは駐在員一人の小規模なものだから、費用を節約するために、駐在員の住居をビジネスのための子会社の事務所としても使いたいのですが、問題ない でしょうか、という質問をうけることがあります。

こ れについては残念ながら、問題はない、というお答えはできません。2つ問題があります。1つは、ビザの手続き上、できたばかりの会社の場合には、本当のビ ジネスの行うための会社であることの証拠として、Office のリース契約のコピーを提出する必要がある点です。自宅住居のリース契約では、移民局がビザの許可を出してくれない可能性もあり、小さいところでもいいか ら、独立した事務所を借りたほうが安全です。2つは、ゾーニングの問題です。

ア メリカにも住居区域、農業区域とかビジネス区域とかの区分があり、住居区域ではビジネスを行ってはいけないのが原則です。自宅を事務所として使用するのは このゾーニング違反になる可能性があります。したがって、原則としては、自宅住居を会社の事務所として使うことはお勧めできません。

ただ、どうしてもという場合には、ビザ手続き上も、ゾーニング手続き上も、例外はありえますので、個別的な状況に応じて弁護士に相談することをお勧めします。



米国における法人設立形態について

米国への進出を決定した日本の会社の担当者で、事前によく勉強してきたと思われる人から、よく聞かれる質問の一つに、米国で子会社として、株式会社を設立したいと考えているのですが、米国では株式会社の中にも C Corporation とか、Close Corporation とか、S Corporation とかの種類があると聞いていますが、どれを選ぶべきでしょうか、というのがあります。
結論を申し上げれば、C Corporation を選ぶべきで、他の会社は選択肢に入れる必要はありません。

−C Corporation−

C Corporation とは、普通の株式会社を意味します。税金については会社として法人税を支払う義務を負います。株主に配当金が支払われた場合、株主はその配当金に対して所 得税を支払う必要があります。その意味で、最終的に利益が株主のところに届くまでに、会社レベルと株主のレベルの、二段階の税金支払いの義務を負うことに なるのです。

−Close Corporation−

Close Corporation とは何でしょうか。Close Corporation といった場合、2 つの意味があります。一つは、少数の株主によって所有されており、上場はせず、将来も上場は考えない小規模の会社で、外部からの投資を受け入れることは考 えていない会社のことを意味する場合です。これは法律用語ではなく、事実上そのような同族会社的な閉じられた会社を意味する一般用語です。

法 律上の実態としては、上記の C Corporation であったり、S Corporation であったり、さらに次に説明する法律上の意味での Close Corporation でもあったりする可能性があります。さらには、LLC のことを意味するかもしれません。したがって、誰かが、自分は Close Corporation を経営している、と言っても、それだけでは実際にはどういう法人組織を意味するのかは実はわからないのです。

もう一つは、法律上の Close Corporation(Statutory Close Corporation、以下「SCC」といいます。)を意味する場合です。SCC を設立するためには、会社法上の一定の要件を満たさなければなりません。まず、SCC は35人以上の株主は持てません。
そして、SCC の選択は株主の全員一致の同意に基づいて、定款に明記しなければなりません。SCC のメリットは何かというと、株主間の契約によって、通常の会社であれば遵守しなければならない会社法の条項とは違う内容の規則を採用して、それに従って会 社の運営を行うことができる点にあると言われています。

し かし、実際に SCC の設立はあまり行われていません。なぜでしょうか。上記で説明しました、株主間の契約で会社法の条項とは違う内容の規則を採用できる、という点は、メリッ トであるとも言えるかも知れませんが、実は大きなデメリットでもあるとも言えるのです。

SCCを設立するためには、どのように会社法とは違う規則を作るかを、株主同士が検討して独自の規則を考えて契約書にまとめ、合意しなければなりません。これは大変面倒くさいことであり、弁護士費用も相当高くなるだろうと想像されます。
通常の会社であれば、原則としてすべて会社法に記載してあることに従えば足り、会社設立に必要なたくさんの書類もほとんど全てスタンダード化されているた め、会社の名前とか、授権株式数とか、発起人の名前とか、当初の取締役の名前とかの具体的な情報を書き込めば出来上がるように、確立されています。

ところが、SCC の場合は、いわば手作りの会社であるため、スタンダードな書類が存在せず、それを一から作り上げなければならないことになります。それをするのは大変手間がかかってしまいます。

しかも、一般的に会社法に従わなくてもいいと言われるものの、一体どこまで自由に決められるのかは、明確ではなく、場合によれば、裁判で争われると無効にされることにもなりかねません。このような不確実性もあり、誰も実際に使おうとしないのが、この SCC です。したがって、子会社のための法人組織を考える場合に、この SCC はまったく検討の対象にする必要はないといえます。

−S Corporation−

S Corporation とは Corporation として設立され、一定の要件を満たした上で S Corporation を選択することを取締役会および株主総会で決議をし、その選択のための一定の届出を IRS(Internal Revenue Service、連邦の税務署です。)およびFTB(Franchise Tax Board、カリフォルニア州の税務署です。)に行った会社のことを意味します。

このS Corporation のメリットは、二段階の法人税、所得税の課税を避け、会社の段階では法人税を課税されず、株主のレベルでの課税だけで済ますことができる、という点にあります。いわゆる pass through entity です。

会社の大きな目的が、会社で発生した利益を最終的な所有者である株主にもたらすことである以上、pass through entity であることは大きなメリットです。実際、米国の小規模な会社の多くは S Corporation の選択をしていると思います。しかし、日本の会社が子会社を持つ場合の組織としては、S Corporation を選択することはできないのです。

S Corporation を選択するための要件としては、株主は75 人以下でなければならず、かつ、その株主はすべて米国に居住する個人でなければならないとなっています。簡単な話、法人は S Corporation の株主になることはできず、かつ、外国に住んでいる者も S Corporation の株主になることはできないのです。

日本の会社が米国に会社を作る場合には、以上の S Corporation を選択できる要件を欠いているわけです。したがって、通常この S Corporation も選択の一つとして検討する必要はまったくありません。


ビザの種類について

ビザは一般的に、入国目的によりさまざまな種類に分類されています。ビザは移民法(Immigration and Nationality Act)により、
移民ビザ(Immigrant Visa)
非移民ビザ(Non-Immigrant Visa)
に区分されています。

「移民ビザ」とは米国へ「移民」する目的で入国する者に与えられるビザのことをいいます。
移民ビザを取得することにより、永住権(いわゆるグリーンカード)を取得することになります。したがって、日本企業から米国への駐在員派遣には、通常使われることはありません。

「非移民ビザ」とは、米国へ一時的に滞在する目的で入国する者に与えられるビザのことをいいます。日本企業からの米国への駐在員派遣には、スタッフの経歴、米国でのポジションや仕事内容に応じて適切なビザを申請することになります。

主な非移民ビザ一覧
*「家族」とは配偶者及び21歳未満かつ未婚の子供をいいます。種類 発給対象

−ビザ・ウェーバー−
ビジネスもしくは観光目的で90 日を限度として米国に滞在する日本人に対し、B-1 またはB-2 ビザを取得せずとも米国入国を許可するシステム。

−B-1− 
ビジネスビザ。個人または会社の従業員が一時的にビジネスで米国へ入国する時に使用。

−B-2− 
観光ビザ。観光旅行者として、米国へ入国する時に使用。

−E-1− 
条約貿易事業従事者ビザ。米国との通商航海条約に基づくもので相当規模の貿易・商業取引(サービスや技術の取引を含む)を行う個人や企業のためのビザ。(家族含む)

−E-2−
条約投資事業従事者ビザ。米国との通商航海条約に基づくもので、米国への投資、会社の経営・運営を行う個人や企業のためのビザ。(家族含む)

−H-1B−
専門職ビザ。大卒以上の学歴と高度な専門知識を有する者が、そのような能力が必要とされる職種で働くためのビザ。

−H-2−
短期労働ビザ。米国において不足している農業等の短期労働者(季節労働者)のためのビザ。

−H-3−
研修生(トレーニー)ビザ。さまざまな分野で、企業または個人の招きによって米国で研修を受けようとする者のためのビザ。(生産的労働への従事は不可)

−H-4−
H-1/H-2/H-3 ビザ保持者の家族

−L-1−
関連会社への派遣者ビザ。ビザ申請直近3年間のうち1年を米国外での企業で継続して雇用されていた者が、米国内でのその企業の関連会社において、幹部職 (Executive)、管理職(Manager)、特殊知識技術職(Specialized Knowledge)として働くためのビザ。

−L-2−
L-1 ビザ保持者の家族。

−F-1−
学生ビザ。米国内の大学、またはそれに類する機関でのフルタイムでの勉学をする者のためのビザ。滞在期間は修学期間に対応。移民局の認可した語学学校への留学を含む。

−F-2−
F-1 ビザ保持者の家族。

−M-1−
各種専門学校学生ビザ。移民局の認可した職業訓練プログラムへの参加者のためのビザ。研修目的は技能取得に厳しく限定。滞在期間は訓練期間に対応。

−M-2−
M-1 ビザ保持者の家族。

−J-1−
交換留学者ビザ。

−J-2−
J-1 ビザ保持者の家族。

ビザ・ウェーバーについて
日本国籍を有する者は米国国務省が導入した査証免除パイロットプログラムのもとに、ビザなしでも米国へ入国できます。このプログラムに基づくと、米国へ観 光またはビジネスのため入国する訪問者の滞在が90日未満の場合、在外米国公館で B-1/B-2 のビザを取得する必要はありません。ただし、米国へ入国してからの滞在延長または他のビザ資格への変更は認められません。

手続きとしては、米国入国の際に査証免除パイロットプログラム用紙と往復航空券を提示すれば、米国入国審査官から I-94(米国出入国記録カード)が発行されます。この査証免除パイロットプログラム用紙は在外米国公館や旅行代理店、またはこのプログラムに参加している航空会社で入手することができます。

なお、頻繁にビザ・ウェーバーで米国入国を繰り返している方は、入国審査官から厳しく審査され、場合によっては米国入国を認められないこともありますので注意が必要です。例えば、米国に単身赴任のL ビザやE ビザ従業員の配偶者の方が家族ビザを取らずビザ・ウェーバーで頻繁に渡米している場合、入国審査官から家族ビザを取得し、入国するよう指摘される場合もあります。

B ビザについて

B-1 ビザは米国外に居住する人が、米国外の雇用者のために短期間のビジネスで米国に入国する場合に発行されるビザです。B-1 ビザでの米国滞在は、特別な事情のある場合のみ最高1年間許可されますが、ほとんどの場合ごく短期間です。実際は、特定のビジネスのため必要な期間しか滞在は認められません。

−誰にB-1 ビザが発行されるか−

B-1 ビザ保持者は米国滞在中、米国外の雇用者のために商談をしたり、トレーニングを提供したり、契約交渉にあたる等の「国際通商貿易を促進するような業務」を 遂行することが認められています。ただし、以下の条件を満たさなければなりません。

1. 業務の目的は米国での生産に直接つながる仕事であってはならない。
2. 常時米国外の企業の従業員として米国外の雇用者から給料を支払われなければならない。
(ただし、滞在のための経費は米国内の会社から支払われてもよい)

−申請の方法・条件−

1. B-1 ビザで米国入国を希望する者は、米国移民局 Bureau of Citizenship and Immigration Services: BCIS1に対してではなく、在外米国公館で直接ビザスタンプを申し込みます。
2. 申込者は、以下の点を在外米国公館に説明できなければなりません。
・ 米国に一定期間のみ滞在する意思
・ 滞在期間の満了した時点で出国する意思
・ 米国滞在及び帰国のために必要な費用を保持していること
1 移民局は以前は米国司法省の傘下で Immigration and Naturalization Service、略称INS と呼ばれていましたが、国土安全保障省の設立にともない、2003 年3 月より旧INS のビザやグリーンカードの発行及び市民権付与等のサービスを行う部門が上記 BCIS に移管されました。
・ 滞在中は許可されているビジネスにのみ従事すること
さらに、日本人は、ビザ・ウェーバーを使って入国しても90日までの米国滞在を認められるため、90日を超えて滞在する必要性を説明できなければなりません。

−B-1 ビザスタンプの申し込みに必要な書類−

B-1 ビザスタンプは在外米国公館へ以下の書類とともに申し込みます。
1. パスポート
2. ビザ申し込み用紙 Form DS-156 とパスポートスタイルの写真(5cmx5cm)
3. Form DS-157 (16 歳以上45 歳未満の男性のみ)
4. 雇用者からのサポートレター:申込者が上記 B2 記載の条件を満たしていることを示すために、最低限以下の内容を明記することが必要です。
・ 出張を必要とするビジネスの内容
・ 出張日程
・ 出張中の給料が米国外の雇用者によって支払われること
5. ビザスタンプ申し込み費用$100(2003 年5 月現在)相当日本円また、中小企業の社員や自営業の申込者に対しては、在外米国公館での審査が厳しい傾向にあり、米国でのビジネス等入国目的について追加 資料の要求を受ける事があるかも知れません。

−入国時の注意点−

米国入国にあたり入国審査官から滞在目的などに関し説明を求められる事が多いため、ビザ申請時に使用した「会社から在外米国公館へ提出した書類の写し」等をパスポートと一緒に準備しておくことをお勧めします。

特にB-1 ビザで頻繁に米国入国を繰り返している方は、入国審査官から厳しく審査され、場合によってはビザの取り消しにつながることもありますので注意が必要です。

−滞在延長手続きについて−

滞在期間の延長が必要な場合は、滞在期間満了前に移民局に申請します。滞在延長は一度に最高6 ヵ月まで可能です。以下の書類を移民局へ提出します。
1. Form I-539
2. 日本の雇用者、または米国の会社からなぜ延長の申請が必要なのかを説明したサポートレター
3. パスポートの顔写真のページと I-94 のコピー
4. B-1 滞在延長申し込み費用$140(2003 年5 月現在)

E ビザについて

E ビザは日本国籍を有する者が米国で貿易事業 ( Trade ) もしくは投資事業(Investment) の遂行にあたる場合に発行されるビザです。このビザは、日本のように米国と通商航海条約 (Treaty of Commerce and Navigation) を締結している国の国民に限って発行されます。

E ビザの申込者は必ず日本国籍を有し、米国内で勤務する会社の株式の50%以上は日本人または日本の企業が保有していなければなりません。
E ビザには貿易事業に従事する者に発行されるE-1 と、投資事業に従事するものに発行される E-2 の2 種類があります。

E ビザは、日本人の、幹部職 (Executive) 、管理職 (Manager) 、または企業の運営に欠かすことのできない特別な資格や技術を必要とする業務 (Essential Skills) 担当者の職種に対し発行されます。
* E ビザ保持者の家族 (配偶者と21 歳未満の未婚の子供) に対しても同じ E-1/E-2ビザが発行されます。

−E ビザの特徴−

E-1/E-2 ビザは、通商航海条約に基づくビザで米国国務省が管轄しており、日本にある米国大使館 (領事館) に最初から申し込みます。H ビザや L ビザと異なり、申し込み前に米国国土安全保障省(Department of Homeland Security)管轄下の移民局に申請する必要はありません。申し込みに必要な書類は、申込者が条約に基づく貿易事業または投資事業に従事することを米 国大使館 (領事館) に説明できることを念頭に準備する必要があります。

E ビザは他の非移民ビザに比べていくつかの利点があります。

* 通常5年間の有効期限で E ビザスタンプは発行されますが、貿易事業や投資事業が続いている限りE ビザの更新は何度でも可能です。(ただし特別な資格や技術を理由に E ビザで派遣されている従業員については制限があります。)L ビザや H-1B のビザとは異なり通算滞在期間に上限はありません。

* E ビザの申請は米国大使館 (領事館) で処理され、移民局を通さないため申し込み手続きに要する時間を短縮することが可能です。

E ビザ保持者は、米国へ入国する度、ビザの有効期限とはかかわらず通常2 年間の滞在許可(I-94)しか与えられません。したがって、常に I-94 上の滞在有効期限を確認し、滞在期間満了前に移民局に延長を申請する必要があります。

ま た、E ビザは理論的には何度でも更新可能とはいえ、米国で貿易事業や投資事業が継続してさえいればE ビザが更新され続けると考えるのは危険です。まず、ビザの審査にあたって、米国大使館(領事館)は会社の幹部職、管理職、および会社が専門職と考える職種 の従業員の国籍等、米国の会社の雇用状況に関する情報の提供を要求します。

当 初はともかく、その後も日本人従業員の比率が高い場合はE ビザの更新が難しくなることがあります。さらに、企業の運営に欠かすことのできない特別な資格や技術を必要とする業務に従事するために米国へ派遣される従 業員には、その業務を遂行するのに必要な期間の有効期限のあるビザしか発行されません。

−E-1 ビザ−

E-1 ビザは相当量の貿易 (Substantial Trade) を日米間を主として行っている日本企業や日本人に発行されます。申込者は幹部職や管理職の性格を有する業務に従事するか、または企業の運営に欠かすことの できない特別な資格や技術を必要とする業務に従事しなければなりません。

主 に日米間での貿易ということは、米国内の事業体から見て、その総貿易量のうち日米間の貿易量が50%を越えるものでなければならないことを意味します。 (米国の会社が支店である場合は会社全体の貿易の50%以上が日米間で行われている必要があります。)相当量の貿易ということは、貿易高(金額)において のみ判断されるものではなく、その内容、例えば取引件数や貿易業務の継続性などでも判断されます。

貿易活動とは、国際金融、保険、交通機関、コミュニケーション、情報処理、広告、会計、経営コンサルタント、観光、テクノロジー(技術移転)、デザイン、工学技術、等の業務を含めた商品、金融、広告や会計等のサービスなどを指します。

−E-2 ビザ−

E-2 ビザは、個人もしくは勤務する会社が米国で相当額の投資を新たに行い、または現在行っていて、その事業の発展と指導のための業務に従事するために米国に入国する日本人に発行されます。E-1 ビザと同様、申込者は幹部職や管理職の性格を持つ業務に従事するか、または企業の運営に欠かすことのできない特別な資格や技術を必要とする業務に従事しなければなりません。相当額の投資 (Substantial Investment) については会社の規模、種類、または取り扱っている商品、サービスに基づきケースバイケースで判断され、最低必要な投資金額が定められているわけではありません。

投資は実際に活動し継続している積極的な投資でなければならず、リスクをともなうことが要求されます。従って、具体的な計画のない単なる投資の意思は将来の投資としては認められませんし、非営利法人のような利益を全く生まない組織への派遣に対しては、E-2 ビザは発行されません。新たに投資活動を行うに先立ってビザの申し込みをする場合、ビザの申し込み時期と実際のビジネスの開始時期が接近していることが要求されます。

−E-1/E-2 ビザスタンプの申し込み方法、延長、更新の手続きと必要書類−

会社がはじめてE ビザを申し込む場合は、まず会社を大使館(領事館)へ E-1 貿易事業家または E-2 投資家として登録する手続きが必要です。通常は、在日米国大使館(領事館)へ以下の資料を提出し、最初にE ビザが必要となる従業員のビザスタンプ申し込みと会社の登録手続きを同時に行います。

1. パスポート
2. 従業員ビザ申し込み用紙 Form DS-156 とパスポートスタイルの写真(5cmx5cm)
3. Form DS-157(16 歳以上45 歳未満の男性のみ)
4. 会社の E ビザ申し込み用紙 Form DS-156E
5. 会社の概要、日米間で行われている貿易(E-1)または投資(E-2)の状況、ビザを申し込む者の米国での肩書き、職務内容とその者の経歴を証明した会社のサポートレター
6. 直近の日米間での相当量の貿易、または投資を証明する書類
7. 日本の会社と米国の会社の関係を表す書類と会社が米国で事業を行っている証拠
* 会社がすでに E-1 貿易事業家、また E-2 投資家として登録されている場合は上記7 の書類は必要ありません。
8. ビザスタンプ申し込み費用$100(2003 年5 月現在)相当日本円
E ビザスタンプの更新を日本の大使館、領事館で行う場合も、上記の書類7 以外全てが必要となります。その際、同じ会社からの直近のE ビザ申し込みから1 年以内の場合は、相当量の貿易、または投資は継続されているものとみなされますので、上記の書類中1、2、3、4(申込者の情報のみ)、5、8、だけが必要となり、会社の情報6 と7 は必要ありません。

* 大使館 (領事館) での審査期間はその都度異なりますが、約2 週間から6 週間ほどかかっているようです。

* E ビザスタンプの更新の申し込みは米国国務省へも提出できます。その際に必要な書類は上記 1、2、3、5、8 となります。国務省でビザスタンプの更新を申し込む場合、審査期間には約 2、3 ヵ月(2003 年5 月現在)要しているようです。申込者が米国にいながらにして更新できる反面、手続きが完了するまでパスポートが戻ってこないため審査期間中、米国を出国できない点に注意する必要があります。
E ビザを使って入国し、I-94 上の米国での滞在許可期限を延長する場合は、米国の移民局へ滞在期限が満了する前に以下の書類を提出し、滞在延長の手続きをとる必要があります。

1. Form I-129
2. Form I-129E
3. 会社の概要、日米間で行われている貿易(E-1)または投資(E-2)の状況、E ビザ従業員の米国での地位、責任、業務内容とその者申請資格を示した会社からの手紙(サポートレター)
4. 直近の相当量の貿易、または投資を証明する書類
5. 日本の会社と米国の会社の関係を表す書類と会社が米国で事業を行っている証拠
6. パスポートのコピー(顔写真のページ、E-2 ビザスタンプのページ)、I-94 のコピー
7. E-1/2 滞在延長申請費用$130(2003 年5 月現在)

H ビザについて

H-1B ビザは米国で専門職としての仕事 (Specialty Occupation) を行う外国人を雇用する企業が申請を行い、その外国人に対し発行されるビザです。このビザは高度な専門知識を有する者を対象にしているため、ビザを取得で きる者は4 年制大学で工学、科学、法律、建築、会計、商学、教育等の専門分野で学士を取得した者か、またはそれに相当する経験をもった者に限られます。しかも、その 専門知識や経験は米国で行う仕事と直接関連性があり、その仕事を行うために欠かせないものである必要があります。

H-1B ビザの利点は、L-1 ビザで要求される最低通算1 年間の日本の親会社または関連会社での勤務が必要とされないことです。したがって、大学卒業直後の新入社員や他社から移籍したばかりの従業員を米国に派遣 する場合にも利用できるビザです。

なお、H-1B と L-1 での滞在期間は通算されます。具体的には H-1B ビザまたは L-1 ビザで既に雇用されている従業員が1年以上米国を離れることなく転職し H-1B、もしくは L-1 ビザの資格で雇われる場合、その従業員に許可される滞在期間は最初にL-1 または H-1B を取得した時から通算されます。

H-1B は E ビザや L ビザと違い米国人の従業員の保護という性格が色濃くでてくるため、雇用者には特別な義務が課されます。まず、後述するように H-1B 従業員には平均賃金以上を支払わなければならず、また H-1B の従業員の比率が一定以上となった場合さらなる義務が課されます。その一方、H-1B 従業員が搾取されないよう申請費用$1,130 のうち$1,000 は必ず雇用者が負担しなければなりません。H-1B ビザの滞在有効期間内に H-1B ビザ保持者を解雇する場合、雇用者はその者が帰国する際にかかる旅費を負担する義務があります。

−誰にH-1B ビザが発行されるか−

H-1B のビザは、米国4 年制大学の学位を持っている、もしくはそれに相当する外国の学位、または実務経験やトレーニングから米国4 年制大学の学位相当の経験を有する人に対して発行されるビザです。また、H-1B のビザで従業員を雇用できる職種は、4 年制大学学位レベルの高度な技術や知識を必要としている職種に限られます。

そういった観点から、例えば単なるコンピュータの修理人は H-1B の職種とはみなされませんが、コンピュータ・エンジニアーは4 年制大学の学位レベルの高度な知識や技術を必要とすると考えられ H-1B の職種であるとみなされる、など H-1B で従業員を雇用できる職種とそうでない職種とが出てきます。

−労働条件承認申請(Labor Condition Application)−

H-1B を申請する際、雇用者は、移民局に申請書類を提出する前提として、米国労働省に労働条件承認申請書(Labor Condition Application:LCA)を提出しなければなりません。これは、H-1B 従業員を米国人労働者より低い給与等悪い労働条件で雇用し、その悪影響が米国人労働者に及ぶのを防ぐためです。雇用者は、H-1B の従業員に支払う給料の額が次の二つのうちいずれか高いほうの額以上であることを LCA に提出して保証する必要があります。

1. H-1B 従業員が働くことになる地域で、同じような仕事を行う労働者に対して支払われている給与
2. 雇用者が会社内の同じ仕事に従事している従業員に対して現に支給している給与雇用者は労働省への申請に先立ち、H-1B のビザ保持者として従業員を雇用すること、給料の額およびそのポジションを示した通知を事業所内のよく目につく場所に2 箇所掲示する必要があります。またこの LCA に関する書類は一般公開ファイル(Public Access File)として他の必要書類と一緒に保管し、要求された場合は一般に対して公開可能な状態にしておかなければなりません。

さらに、LCA では、雇用者が H-1B 会社(H-1B Dependent)であるかどうかが問われます。雇用者がH-1B 会社であるかどうかは従業員の総数とH-1B 保持者の数の比率で決まり、従業員の総数に応じて基準が異なっています。H-1B 会社に該当する場合は、H-1B 保持者と同じポジションについている米国人を解雇しないことなど、他に守らなければならない義務が出てきます。LCA が労働省により適切と認められたときには、LCA 申込書の写しに担当官による申請を承認した旨の署名がされます。承認された LCA は H-1B ビザ申請の際に添付書類として移民局に提出する必要があります。

−H-1B 申請に必要な書類−

H-1B の申請にあたり、雇用者は以下の書類を移民局に提出します。

1. Form I-129
2. Form I-129H
3. Form I-129W
4. 承認済みの労働条件承認申請書(LCA)
5. H-1B 従業員の米国での肩書き、業務内容、経歴を証明した雇用者名でのサポートレター
6. 4 年制大学の卒業証明書、成績証明書(米国外の大学から発行されている場合は米国4年制大学の学位と同等であることを証明する書類) 、またはそれに相当する経験があることを示す書類
7. H-1B 従業員の履歴書
8. 従業員が既に米国に滞在している場合はその滞在が合法的なものであることを示すI-94やビザスタンプのコピー等の書類
9. H-1B ビザ申請費用$1,130(2003 年5 月現在)

−H-1B ビザスタンプ申し込みに必要な書類−

H-1B の申請に対し移民局から承認がおりた後、H-1B 従業員は在日米国大使館(領事官)にビザスタンプを申し込みます。既に米国にて滞在していて F-1 等他のビザから H-1B に変更する場合は、カナダ、メキシコの米国大使館(領事館)に行って申し込むこともできます。更新の場合には加えて米国国務省に対してもビザスタンプを申 し込むこともできます。いずれの場合でも H-1B のビザスタンプを申し込む際は原則として以下の書類が必要です。

1. パスポート
2. ビザ申し込み用紙 Form DS-156 とパスポートスタイルの写真(5cmx5cm)
3. Form DS-157 (16 歳以上45 歳未満の男性のみ)
4. Form I-797 (移民局からの H-1B 申請の承認書の原本)
5. H-1B を移民局へ申請した際提出した書類一式のコピー
6. 既に H-1B ビザをもっている場合は、現在の雇用を証明する雇用者からの手紙や直近に支払われた給料明細書のコピーなど雇用が継続している証拠
7. ビザスタンプ申し込み費用$100(2003 年5 月現在)

−H-1B ビザ発給枠の減少(2003 年7 月4 日更新)−

H-1B ビザの年間発給枠が2004 ビザ年度(2003 年10 月1 日〜2004 年9 月31 日)より、現行の195,000 件から65,000 件へと大幅減になる見込みです。発給枠が大幅減となった場合、年内のビザ申請に影響が出る可能性が低いものの、2004 年春以降に発給枠が上限に達し、それ以降のH-1B ビザ申請者は翌ビザ年度(2004 年10 月1 日)まで申請を待たなければならず、米国への赴任時期に影響が出ることが懸念されます。よって、今後安定的にH-1B ビザを取得し、駐在員を赴任させるためには、発給枠が上限に達する前にH-1B ビザの申請を行えるよう早期の準備が必要であります。

移民局の発表によると、2002 ビザ年度(2001 年10 月1 日〜2002 年9 月31 日)に受け付けた H-1B ビザ申請は全215,190 件、うち197,539 件に許可がおり、そのうち H-1B ビザ発給枠の対象となる新規申請数は79,100 件でありました。

現行の年間195,000 件というビザ発給枠は、米国経済が好景気にあった IT バブル期に、インドや中国などから多くの IT 技術者が流入し、その多くが H-1B ビザを申請しており、政策的に発給枠を拡大した経緯があります。よって、今回の措置はあくまでもとの発給枠に戻すということになりますが、過去65,000 件という発給枠が最短で上限に達したのは翌年の1 月でした。

H-3 ビザについて

H-3 ビザは、さまざまな分野でトレーニングを受けるために米国に短期間滞在する外国人に発行されるビザです。トレーニングの分野は、医学以外のどの分野でも構いません。H-3 ビザ申請は米国内でトレーニングを主催する企業もしくは個人(受け入れ先)が移民局に対し行います。

−滞在上の規制−

1. 滞在トレーニング期間は滞在延長を含め通算24 ヵ月に限ります。
2. 米国で18 ヵ月間 H-3 ビザで滞在した場合は、滞在延長・滞在資格変更ができません。
o 例えば、当初12 ヵ月のトレーニングプログラムで米国に入国した場合、さらに12 ヵ月までの滞在延長・滞在資格変更申請が可能。
o 当初20 ヵ月の予定で入国し、さらに滞在延長を希望する場合、H-3 ビザでの滞在が18 ヵ月未満であれば通算24 ヵ月までの滞在延長・滞在資格変更申請が可能なものの、申請時に滞在期間が18 ヵ月を超えていたときは滞在延長・滞在資格の変更申請は不可能。
3. H-3 ビザでのトレーニング終了後は、最低6 ヵ月間米国外に居住していなければ H または L ビザで米国に再入国することはできません。
4. トレーニーの給料は、米国の受け入れ先あるいは米国外の派遣先のどちらが支払っても問題はありません。

−トレーニングの条件−

H-3 ビザのトレーニングは、次の条件を満たす必要があります。

(a) トレーニー(トレーニングを受ける者)はトレーニングを受ける分野での相当のトレーニングや経験が既にあってはならない。
(b) トレーニングは、トレーニーが母国では受けることができないものでなければならない。
(c) トレーニーは受け入れ先において、トレーニー以外の従業員が通常従事しているポジションにつくことはできない。
(d) トレーニーは、トレーニングに必要でない限り生産的な仕事をしてはならず、トレーングに必要な生産的な仕事はトレーニングに付随するものに限られる。
(e) トレーニングは、トレーニーがトレーニング終了後米国外で特定の仕事に役に立つものでなければならない。
−トレーニング・プログラムの内容−
H-3 ビザの申請にあたり、受け入れ先は次のような内容を含む文書を用意しなければなりません。
(a) トレーニングの種類、プログラムの内容、誰が監督にあたるか
(b) 生産的な仕事にあたる時間の割合
(c) 教室での授業(講義)と仕事上でのトレーニングに使われる時間数
(d) トレーニングで得られるものを有効に活用できる、トレーニーの母国でのキャリア
(e) 同じようなトレーニングが米国以外では受けられない理由
(f) トレーニング期間中のトレーニーの報酬がどこから支払われるか、トレーニングを行うことによって受け入れ先が得られるもの
(g) トレーニングのプログラムの詳しい目的とスケジュールを含むアウトライン。この中には授業のトピック、必要な時間、使用するテキスト(可能であれば)、授業方法と目的が述べられていなければならない。

トレーニング・プログラムには次にような制限があります。

(a) プログラムは定められたスケジュールや目的または評価方法のない一般的なものであってはならない。
(b) プログラムは受け入れ先の仕事または事業の内容と相反するものであってはならない。
(c) プログラムの内容はトレーニーの母国で適用できるものでなければならない。
(d) プログラムの内容はトレーニーの現在の知識以上のものを与えるものでなければならない。
(e) プログラムは、米国の企業運営のための従業員を雇い、訓練することを目的としてはならない。
(f) プログラムはトレーニングを行うのに必要な施設や訓練されたインストラクターが準備されているものでなければならない。
(g)プログラムは、米国にいる外国人学生の F-1 プラクティカルトレーニング期間を延長するために利用されてはならない。

−H-3 申請に必要な書類−

H-3 ビザは、受け入れ先が移民局に以下の書類を提出して申請します。

1. Form I-129
2. Form 129H
3. 会社からのサポートレター
4. トレーニングプログラムの詳細等、プログラムをサポートする書類
5. H-3 ビザ申請費用$130(2003 年5 月現在)

−H-3 ビザスタンプの申し込みに必要な書類−

上記申請に承認がおりた後、在日米国大使館(領事館)へ以下の書類によりビザスタンプを申し込みます。

1. パスポート
2. ビザ申し込み用紙 Form DS-156 とパスポートスタイルの写真(5cmx5cm)
3. Form DS-157(16 歳以上45 歳未満の男性のみ)
4. Form I-797(移民局からのH-3 申請の承認の原本)
5. H-3 を移民局へ申請した際提出した書類一式のコピー
6. ビザスタンプ申し込み費用$100(2003 年5 月現在)相当日本円

J ビザについて

J-1、交換留学者ビザは、学生、学者、研修者、教師、教授、リサーチャー、技術者、専門職者等、米国国務省によって承認されたプログラムに参加するために渡米する者に発行されるビザです。
交換留学者は通常18 ヵ月、最高3 年間までの実習による就労が許可されます。この期間はプログラムをスポンサーする機関によって定められます。

交換留学者としてビザを申請するには、プログラムをスポンサーする機関から Form IAP-66という書類を発行してもらう必要があります。

交換留学者の場合、プログラムによってはプログラムの満了後母国か直前の居住国へ帰国しそこで2年間滞在しないと、その制限が適用されないよう特別に申請しないかぎり、H や L のビザではアメリカに入国できないという規制を受ける場合があります。この規制が適用される場合は以下の通りです。

(1)プログラムが米国政府、または交換留学者の国の政府によってスポンサーされている場合(フルブライト奨学金等)
(2)J-1 の交換留学者の国で明らかに不足している知識や技術を身に付けている場合(国務省 Foreign Affairs Manual から出版されている“Skills List”に記載されている職業)
(3)米国で大学院レベルの医学、臨床のトレーニング、または教育を受けている場合 J ビザは在日米国大使館(領事館)に申し込むことになりますが、詳細手続は IAP-66 を発行しプログラムをスポンサーする機関あるいは在日米国大使館(領事館)に問い合わせる必要があります。

L ビザについて

L-1 ビザは、短期間米国にある親会社・子会社2・関連会社3または支店・出張所に派遣される従業員に発行されます。そのような従業員は米国外の関連会社で幹部 職(Executive)や管理職(Manager)または特殊知識技術(Specialized Knowledge)職として直近3 年間のうち1 年間勤務している必要があり、さらに米国でも上記いずれかの職種に就かなければなりません。また、滞在期間については、最初3 年間の滞在が認められ、L-1A と呼ばれる幹部職、管理職は最長4 年(計7年)、L-1B と呼ばれる特殊知識技術職は最長2 年(計5 年)までの延長が可能です。

o 設立1 年未満の会社や支店等に派遣される場合は、最初1 年間の滞在しか認められませんが、その後は幹部職、管理職は最長6 年、特殊知識技術職は最長4 年まで滞在期間の延長を申請することが可能です。その際過去1年間の会社や支店等の活動状況を説明できる書類を提出しなければなりません。

2 ここでいう子会社 (subsidiary) とは、(i)親会社が直接・間接を問わずその会社の50%以上を所有
しかつ支配している会社、(ii)親会社が50/50 の合弁会社の直接、間接を問わず50%の出資者で他の出資者と対等の支配権を有し、会社の運営に関しての拒否権も有している会社、あるいは(iii)親会 社の直接・間接の所有が50%未満であっても実質的に支配している会社、のいずれかをいいます。

3 ここでいう関連会社(affiliate)とは、(i)同一の会社あるいは個人が所有しかつ支配している子会社(上記の定義によります)同士、または (ii)同一の個人集団により所有されかつ支配されている組織で、かかる個人間のそれぞれの組織の所有・支配権の比率がほぼ同じものをいいます。後者の例 ですが、A,B,C,の三名が株式会社X の株式をそれぞれ20%,30%,50% の比率で所有し、株式会社Y の株式をそれぞれ 20%,30%,50%の比率で所有しているとき、X とY は関連会社ということになります。なお、国際的な公認会計士事務所の場合には関連会社につき特別な定義が適用されます。

−L ビザの条件−

L-1 ビザで派遣される従業員は、米国外の親会社・子会社・関連会社または支店・出張所でビザ申請の直近3 年間のうち通算1 年以上を幹部職・管理職・特殊知識技術職のいずれかのポジションで働いていなければなりません。法律では、米国にある親会社・子会社・関連会社または支店・出張所で働いていた1 年間はこの1 年間にはカウントされないと明記されています。すなわち、この1 年間は必ず米国外での勤務でなければなりません。

派遣される従業員には「米国外の会社」または「米国内の会社」の2 社のいずれから給料を支払っても構いませんが、米国内の会社に採用し、そこで職務につかせる必要があります。

L-1 ビザは、米国外の企業が完全に米国に移転することに用いられるものではありません。つまり、米国内の申請会社と海外の派遣会社双方の事業は、L-1 ビザの派遣者が米国で働いている全期間中、それぞれ継続していなくてはなりません。会社グループの組織変更などがあった場合は、その変更内容によっては L-1 ビザの変更申請の手続きを行う必要がある場合もあります。

滞在期間の上限が到来した従業員への新たな L-1 ビザの申請は、本人がいったん米国を自主的に出国し、米国外で最低1 年以上居住していない限り認められません。その期間中に米国へビザ・ウェーバーまたは B ビザで入国することはできますが、そのような訪問や旅行により米国に滞在した期間は、米国外での1 年間居住していた期間には含まれません。

−職位の定義−

1. 幹部職(Executive)とは次の用件全てを満たす者をいいます。
㈰当該組織の管理職またはその主要な機能を指導、指揮する
㈪当該組織または下部組織の目標と方針を設定する
㈫意思決定において広範囲な裁量権を認められている
㈬上級役員、取締役会、株主の一般的な監督、指導にのみ拘束される
o 生産やサービスに必要な職務に専従する従業員は、この幹部職のカテゴリーには合致しません。つまり、幹部職には勤務時間の半分以上が幹部職としての任務に携わっていることが要求されます。

2. 管理職(Manager)とは次の用件全てを満たす者をいいます。
㈰当該組織またはその下部組織・機能(部門、部、課等)を管理し、日常的な業務運営についての自由裁量が認められている
㈪他の管理(Managerial)・監督(Supervise)・専門(Professional)的立場の社員の業務を管理監督し、採用・解雇・昇 進・休暇許可等の人事権を有するまたは、部下がいなくてもプロジェクトマネジャーとして管理職に該当する場合もあります。その場合は当該組織やその下部組 織の本質的な機能を管理し、組織の中でもしくは組織の機能において、きわめて高い位置付けになる役割を果たしていることが必要です。
o 第一線監督者(First-line Supervisor)は専門(Professional)的立場にある社員を監督していない限り、管理職としては認められません。また、管理職は幹部職 と同様、製品の生産やサービスを提供するのに必要な職務に専従することも認められません。

3. 特殊知識技術(Specialized Knowledge)職とは次のいずれかの知識・技術を有しているエンジニア等の専門職をいいます。
㈰申請企業の利益につながる製品、サービス、リサーチ、機器、技術、経営管理などに関する特殊な知識や技術(Specialized Knowledge)
㈪申請企業の製品や技術等の国際市場への適用に関する特別な知識
㈫申請企業の製品の製造方法、製造過程についての高度な知識(Advanced Level of Knowledge)と専門的技術(Expertise)
o 特殊知識技術職とは一般的な技術ではなく、その会社に1 年以上勤務していることによって身につけられた会社独自の知識、技術のことを指します。
o 移民局・米国大使館(領事館)では、こういった特殊知識・技術を徐々に米国人に移転していくことを外国企業に指導しており、新たな知識や技術を有するもの でない限り、同じようなポジションに外国人を交替派遣することはかなり困難になっています。

−L-1 申請に必要な書類−

L-1 の申請の際は、米国での雇用者は、移民局に以下の書類を提出します。
1. Form I-129
2. Form I-129L
3. 会社の情報、L-1 従業員の米国での肩書、業務内容、経歴を説明した会社からのサポートレター
4. 米国と日本の会社の関係を表す書類(株券等)
5. L-1 保持者が既に米国にいる場合はその滞在が合法的なものであることを示す I-94 やビザスタンプのコピー等の書類
6. L-1 ビザ申請費用$130(2003 年5 現在)

米国に設立されて1年経過していない会社が L-1 ビザを申し込む際は以下の書類が必要です。
1. Form I-129
2. Form I-129L
3. 会社の情報、L-1 従業員の米国での肩書、業務内容、経歴を説明した会社からのサポートレター
4. 米国と米国外の会社の関係を表す書類
5. 米国の会社のオフィスの賃貸借契約書
6. 米国外の会社の財務状況を示した書類
7. 米国での今後のビジネスプラン(雇用計画等)
8. L-1A の管理職として申請する場合は米国外の会社で管理職として雇われている証拠(組織図等)
9. L-1 ビザ申請費用$130 (2003 年5 月現在)
申請に対して1 年間の滞在期間が許可された後、その滞在期間が満了しないうちに2 年間の延長を移民局に申請します。その際は上記の書類とともにその1年のうちに米国でビジネスを開始して活動していることの証拠を提出します。(例として は会社の納税申告書等があげられますが、場合によっては会社の取り扱っている製品やサービスの請求書や注文書のコピー等が必要な場合もあります)
o 法律上 L-1 は移民局において1ヵ月以内で審査されるよう定められていますが、実際は1ヵ月以上かかっているケースがほとんどです。

−L-1 ビザスタンプの申し込みに必要な書類−
L-1 ビザスタンプは在日米国大使館(領事館)、更新の場合はさらにカナダやメキシコの米国大使館(領事館)、米国内国務省で申し込みができます。必要書類は原則として以下の通りです。
1. パスポート
2. ビザ申し込み用紙 Form DS-156 とパスポートスタイルの写真(5cmx5cm)
3. Form DS-157 (16 歳以上45 歳未満の男性のみ)
4. Form I-797 移民局からの L-1 申請の承認の原本
5. L-1 を移民局へ申請した際提出した書類一式のコピー
6. 現在の雇用を証明する雇用者からの手紙
既に L-1 ビザを持っている方がカナダやメキシコの米国大使館・領事館で申し込む場合は直近の給料明細書のコピーで代替することも可能です
7. ビザスタンプ申し込み費用$100(2003 年5月現在)



その他の関連情報

−E ビザ・L ビザ保持者の配偶者の就労許可書−

Eビザ、Lビザの滞在資格で働いている人の配偶者は、移民局に申し込むと就労許可書が発行され米国で働くことが可能になります。必要書類は以下の通りです。

1. Form I-765
2. E/L 従業員の I-94コピー
3. 配偶者の I-94コピー
4. E/L 従業員の I-797、滞在承認のコピー(E ビザを持っている方は、I-94を移民局を通して延長しない限りこの書類はありません)
5. 婚姻を証明するもの(結婚証明書など)または二人のビザのページのコピー(配偶者のビザには、E/L 従業員の名前が書いてあるはずです)
6. 移民局規定グリーンカードスタイルの写真
7. 就労許可証申し込み費用$120(2003年4月現在)
o I-765のフォームにはどのカテゴリーによって申請を提出しているのかの質問があります。今のフォームでは、E-2・L-2配偶者の労働カテゴリーは含まれていませんので、” Spouse of L Nonimmigrant ” または、” Spouse of E Nonimmigrant"と記入することになります。
o 通常、I-765のフォームは移民局により約90日で処理されていますが、それを過ぎても EAD Card(Employment Authorization Card: 就労許可書)が届かなかった場合は、その地域の移民局へ申請受領書類等申請を出した証拠書類のコピーをもっていけばそこでもう一度就労許可証の申し込みができます。
o 就労許可証は最高2年間の有効期限で発行されますが、EまたはL従業員の I-94上の滞在期間が例えば8ヵ月しか残っていない場合は、その期間だけしか発行されません。

−米国で住居を変更した際に必要な手続き: Form AR-11−

米国在住の外国人(ビザ、またはグリーンカード保持者)は、住所が変わった際新しい住所に変更してから10 日以内に移民局へその旨届け出る義務があります。この届け出は AR-11 というフォームで行われ、家族の方も個人個人で提出する必要があります。

−特急サービス(Premium Processing)−

H-1Bや L-1 など労働を許可するForm I-129 に関連するビザに対しては、移民局に$1,000余分に払うことによって迅速な処理を申請することができます。このサービスは特急サービス (Premium Processing)といい、このサービスを使用すると移民局は15日以内に申請を審査してくれます。ただこれは審査の結果が15日以内に出るというこ とであって、この期間内に必ずしも承認が下りるということではありません。

−家族の延長手続き−

家族の米国での滞在延長は、E、H、や L 従業員の滞在許可がおりることによって自動的におりるのではなく、独自に申し込む必要があります。E、H、L、の従業員と一緒に家族も滞在延長許可を移民 局に申し込みます。家族の方も個人個人で I-94 上の滞在延長許可証に記載されている滞在期限に注意する必要があります。

(5)移民局・米国大使館(領事館)の情報
このガイドブックに記載の情報、フォームなどの大部分は移民局または大使館のホームページでご覧になれますしダウンロードも可能です。移民局のホームページは http://www.immigration.gov/graphics/index.htm、各米国大使館(領事館)のホームページは http://travel.state.gov/links.html となります。

このガイドブックでの移民局とは、特に説明がない限り移民局のサービスセンターを指します。移民局サービスセンターは米国内に4 箇所あり(カリフォルニア、ネブラスカ、テキサス、バーモント)それぞれ管轄地域が決まっています。どのサービスセンターに書類を提出するかは会社の本社 がどこにあるかではなく従業員の雇用場所によって決まります。なお、各サービスセンター、大使館、領事館での審査期間は、時期または事例によりかなり異な ることがありうること、ご留意ください。

(6)在日米国大使館でビザ申請に面接を義務付け(2003 年7 月8 日更新)
在日米国大使館は7 月3 日、駐在員ビザを含む非移民ビザ申請者に対し、8 月1 日以降、面接を義務付けると発表しました。この方針変更により、企業にはこれまで以上に計画的な駐在員派遣が求められることになります。

大使館の方針変更(注1)は、米国務省が各大使館、領事館に出した5 月21 日付の通達を受けたもので、米国入国者へのセキュリティー・チェック強化の一環として実施されます。これまで、日本を含むビザ免除プログラム対象国民(注 2)には、非移民ビザ申請時の面接が免除されていました。

この変更で、これまでの郵送または旅行代理店を通じた申請ができなくなります。東京の米国大使館では、郵送は7 月7 日着までを有効とし、旅行代理店経由の申請は14 日受領分までを受け付けます。大阪の総領事館では、郵送での申請は7 月11 日着まで、備え付けの投函箱を通じた申請も11 日受領分まで、代理申請は7月18 日まで受け付けます。

8 月1 日以降、東京、大阪でビザを申請する場合は、特例(注3)を除いて、面接が必要となります。面接は予約制で、予約は7 月22 日から受け付けが開始されます。ファクス付き電話から、米国大使館のビザ・インフォメーション・ライン(TEL: 03-5354-4033)に電話して予約し、ファクスで予約承認書を入手します。

面 接制度の導入に伴い、これまで2〜3 週間といわれていたビザ発給までの期間が延びることが懸念されています。大使館側は、「手続きの遅延を最小限にとどめる。現在、面接予約システムの改善や 回線の拡大、領事や職員の増員を行っている」としていますが、既に面接を行っている国の大使館、領事館では、発給プロセスの遅れが報告されています。

(注1)米国大使館の発表内容は次のウェブサイトで閲覧できます。
http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhjvisa-20030704a4.html
(注2)ビザ免除プログラム対象国は、アンドラ、オーストリア、オーストラリア、ベルギー、ブルネイ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイ スランド、アイルランド、イタリア、日本、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、サンマリ ノ、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国。
(注3)面接の対象外となるのは次の者。
(1) 16 歳以下の者。
(2) 60 歳以上の者。
(3) A、C、G またはNATO ビザの該当者で一定の条件を満たす者。
(4) 外交官。
(5) ビザ更新、再発行を行う者(ビザ失効後1 年以内が条件)。
(6) 面接免除が米国の国益となると考えられる者。

−駐在員ビザ申請時の面接を一部免除(2003 年7 月28 日更新)−

在日米国大使館は7 月23 日、8 月から非移民ビザ申請者に義務付けられる面接のうち、L(企業内転勤者)および H-1B(特殊技能者)ビザ新規申請者およびその家族の面接を免除すると発表しました。

た だし、E、J ビザ申請者は面接が必要です。今回、面接が免除されることになったのは、L および H-1B ビザを新たに申請する場合で、いずれも米国の在外公館にビザを申請する前に、米移民局(BCIS)に嘆願を行い、承認を得ることが必要とされているもので す。なお、L ビザにはブランケット(注2)による申請を含みます。

L および H-1B ビザ申請時の面接が免除されることになったのは、米国務省が最近、在外公館に通達を送り、嘆願ベースのビザ申請時の面接を免除することを認めたためです。在日米国大使館は7 月3 日に、一部例外を除くほとんどの非移民ビザについて面接制度の導入を発表しましたが(前項参照)、1 ヵ月も経たない間に再び方針が変更され、一部ビザが面接対象から除外されることになりました。

一 般に、嘆願ベースとは、まず米本国の BCIS に「嘆願」(ペティション)を申請し、そこでの審査を経て「承認書」(アプルーバル・ノーティス)を受け取り、この承認書を基に米国の在外公館にビザ・ス タンプを申請するというものです。日本企業がよく用いる駐在員ビザのうち、E ビザやJ ビザは BCIS の審査を受けず、直接在外公館へ申請を行うため、面接の対象となります。

なお、米国大使館の面接制度導入による日本企業の駐在員への影響をまとめると次のとおり。

1.直接的な影響を受けるのはE ビザで派遣される駐在員とJ ビザで派遣される企業研修生およびその家族。H-1B、L ビザで駐在員を日本から派遣する場合は、これまでどおり面接不要。
2.在米日系企業が米国内でビザをサポートして現地の日本人学生を採用する場合(F-1 から H-1B へのステイタス変更)、当該学生は BCIS のステイタス変更の承認後、日本に一時帰国して、面接を受けた上で新たなビザを取得することが必要。
3.ビザの更新については、㈰米国にいながら行う場合、セントルイスの国務省ビザ・オフィスに送付すれば面接不要、㈪日本に一時帰国して更新する場合も面接不要。
(注1)L-1 ビザのグループ申請のこと。移民局に法人登録を行い、ブランケットを確立した後は、個々に移民局(BCIS)に申請を行う必要がなく、大使館、領事館で申請を行う。

−新出入国記録管理システム(US VISIT)の導入(2003 年8 月1 日更新)−

Department of Homeland Security は 2004 年1 月1 日より新出入国記録管理システム(US VISIT)の導入を予定していると発表しました。同システムの目的は、米国出入国情報を厳格に管理することで入国資格の判断をより厳格かつ適切に行なう ことであり、具体的には、査証で入国する外国人の指紋採取等が挙げられています。同システム導入による影響は以下のとおりです。

1.スキャン対応パスポートの取得の必要性
2004 年1 月1 日導入に先駆けて2003 年10 月1 日よりスキャン対応でないパスポート保持者でかつ有効なビザを所持しない者は、米国への入国ができなくなる。米国駐在員は有効なビザを所持しているため影 響はないかと思われますが、日本からの渡航者においては事前に所持するパスポートがスキャン対応のものか否かを確認する必要があります。

判断方法は、スキャン対応でないパスポートには、パスポートの顔写真のページ(顔写真の下)に “This Japanese Passport is not Machine Readable” と記載されています。所持しているパスポートがスキャン対応でない場合、スキャン対応のパスポートへの切り替えが必要となります。


まとめ

「入国したときに I-94 に書かれた滞在期限が過ぎているのですが、どうしたらいいでしょうか?」「米国の大学を卒業した学生を雇っているのですが、プラックテカル・トレーニング の期間があと10日ほどで切れてしまうのですが、どうしたらいいでしょうか?」「昔働いていた会社の E ビザがまだ有効ですが、これを使って米国に行って仕事探しが出来ますか?」このような相談を受けることは、それほどめずらしいことではありません。

米国でビジネスをされる方々にとってビザは避けて通ることの出来ないことは、ご存知のとおりです。ただ、私達日本人にとってはビザ・ウェイーバーのおかげ で観光旅行や短期出張であればビザなしで米国に簡単に入国できるという特権が日常化しており、また、航空機網やコミュニュケーションの発達で世界がどんど ん身近に感じられている現実では、米国でも日本と同じようにほとんど制約なくビジネスができるような錯覚から、冒頭のような質問が生じる事態になってしま うのかもしれません。ちなみにそれぞれの質問への回答は以下のとおりです。

Q : 入国したときに I-94 に書かれた滞在期限が過ぎているのですが、どうしたらいいでしょうか?
A : ヨーロッパ連合のように国境なく人が行き来できる試みが始まっているとはいえ、国家という枠は現に存在しており、その国がどの外国人の入国を許可するかどうかは国政の根本に関わる重要な問題であること、2001 年9 月11 日の同時多発テロ以降アラブ系の外国人に対する米国での入国審査が厳しくなっていることの例を挙げるまでもないかと思います。

外 国人が米国に入国しようと思っても、グリーンカードを持っているか、移民法の規定している18 の非移民ビザのタイプのどれかに該当することを証明しないかぎり、入国できません。それぞれのビザのタイプは米国の国益にかなうかどうかという観点で作ら れた箱のようなもので、その箱に入れる条件を満たしていない人を無理に押し込むことはできないのです。

[回答] I-94 に書かれた期限は米国に滞在することが許可された期限で、その日を過ぎると米国での滞在は不法滞在となります。一日でも不法滞在したからといって、すぐに 米国から強制退去を命じられるわけではありませんが、その後のビザ申請に影響を与えます。たとえば、不法滞在期間が1 年未満で180日を越えた場合は自主的に出国してから3 年間、不法滞在期間が1 年以上の場合は自主的に出国してから10 年間、それぞれ米国に入国できません。また、過去の不法滞在の日数は通算されます。実際にどう対応すべきかは米国での滞在資格により異なります。

まず、ビザウェイバーの資格で滞在している方は、その滞在期間を延長したり、他の滞在資格に変更することは認められていませんので、一日でも早く出国するしか選択肢はありません。E やL 等の労働ビザで滞在している方ですが、基本的には滞在期間の延長の申請・申し込みはその期間の満了前に移民局に提出しなければなりません。
ただし、申請者・申込者のコントロールできる範囲を越えていた特別な事情により期間満了前に提出できなかったことを証明でき、また期間徒過発覚後申請・申 し込みが遅滞なく行われた場合には、例外的に滞在資格の延長が期間満了日まで遡って認められ、不法滞在の事実が治癒されることがあります。なお、I-94 上の滞在期間も満了し、L-1A の7 年、L-1B の5 年、H-1B の6 年といった総滞在期間の上限もそれと同時に到来している場合は、ビザ・ウェイバーで滞在している方と同じく、一日でも早く米国を出国するしか選択肢はあり ません。

Q : 米国の大学を卒業した学生を雇っているのですが、プラックテカル・トレーニングの期間があと10 日ほどで切れてしまうのですが、どうしたらいいでしょうか?
A : プラックテカル・トレーニングの期間が満了する前に、移民局にその学生のために H-1B や該当するビザへの変更の申請をしなければなりません。プラックテカル・トレーニングの期間が満了する前にそのようなビザの申請がされたとしても、労働ビ ザへの変更申請が移民局により認められるまでは、その学生は米国に滞在できても就労は出来ません。変更申請が認められない学生をそのまま雇いつづけた場 合、雇用者として移民法違反行為に該当し、罰金や禁止命令等行政処分の対象となり、悪質な場合は刑罰が適用されることもあります。

Q : 昔働いていた会社のE ビザがまだ有効ですが、これを使って米国に行って仕事探しが出来ますか?
A : 現にその会社で働いていない以上、昔の会社で働いていたビザで入国することは、入国書類偽造として移民法違反の行為に該当し、米国に入国できないばかりでなく、その他の移民法上の恩恵が受けられません。
などと書くと、米国でビジネスをされたいと考えている方々のやる気をそぐように聞こえてしまうかもしれません。実際は、その方の経歴と米国でのビジネスの内容に即したビザのタイプを18 のタイプの中から選択することがほとんどの場合に可能であり、皆さんの夢が実現できるために移民法の観点からお役に立ちたいと願っています。

ただ、米国に入国して生活するということは、外国人である以上母国日本で生活する場合とは異なり、米国での活動内容に制約を受けてしまうことはやむをえないことで、そういった点を常に心の片隅に留めておいていただければと思います。

また、法律の規定や運用は、そのときどきの政治情勢の影響を受けることは免れません。これは移民法の場合特に顕著です。インターネット・バブルに沸いていた1990 年代の後半、技術者不足に悲鳴をあげていたシリコンバレーを中心としたハイテク会社の圧力により法律の規定が改正され、H-1B ビザの年間発行総数が倍近くまで一時的に増加されました。

一方、同時多発テロ以降米国は従来の入国管理・移民管理体制を見直しており、外国人の住所通知義務に関して法律としては存在していても忘れ去られていた条文の運用を突然開始したり、これまでは1 年内であればそのプロジェクトが終了する予定期間までは滞在許可を発行していた B ビザの滞在期間を最高でも60 日に限る、といったように、法律の変更ばかりでなく、同じ条文が違ったかたちで運用されることもあります。

したがって、この前は大丈夫だったから今度も大丈夫と思い込むのは危険で、常に最新の正確な情報を入手することが肝要です。また、移民法やその手続は米国 人にとってさえ難解で、日本人の方々が最初からご自分で理解されようとするのは容易なことではありません。

な お、移民法のご相談に対しては、ビザの種類によって基本的な弁護士費用を定めております。ビザの場合は、個人で手続を進めても弁護士を使っても、ビザの申 請や申し込みが認められた結果発行される承認書やビザスタンプには変わりはなく、ある事務所では $1,500 で L-1 のビザの申請手続きをやってもらえたのに、他の事務所では$2,500 も請求された、と、車の値段をいくつものデーラーをまわって比べるように、弁護士費用だけが一人歩きして比較され易いのかもしれません。が、実際には、個 々の会社や申請者の事情が異なる結果、準備する資料とそれに要する時間に差が出てくるため、同じビザの申請であっても報酬額が同じとは限りません。

そ のうえ、移民局や米国在外公館という政府機関を相手にしているため不測の事態は避けられず、精緻な書類を準備しても移民局の担当官の気まぐれな審査で追加 資料の提出を要求されることもあれば、穴だらけの申請書類でもたまたま許可が下りることもあります。こういったことから、このガイドブックで一般論として 弁護士報酬額を提示するのはあまりお役に立たないように思われます。

代わりに、個々の案件を担当させていただく際基本的な見積もりをし、その範囲を大幅に上回りそうな事情が出てきた場合には別途ご相談させていただくという、弁護士費用についての私どもの基本的な考え方を述べるにとどめさせていただきます。

おわりに

カリフォルア州の会社設立手続きと、駐在員のためのビザ取得のために必要な手続きについての、基本的で実務的な説明をいたしました。実際に使用される申請 書やその他の書類の実物も添付しましたので、実際に会社設立やビザ申請を行うとき大いに参考になると思います。

ま た、できるだけ分かりやすく書いたつもりです。皆さんのお役に立てたなら幸甚です。ただ、本書で手続きが十分理解できたからと言って、会社設立やビザ取得 を全部自分で行うことはお勧めできません。それぞれ専門の弁護士に依頼することが不可欠であると考えていただきたいと思います。

い くら詳しく最新の情報でこのような手引きを作成しましても、法律の内容も実務の対応も変化するものであり、いつでも説明したとおりのままであるわけではあ りません。また、説明を読むと簡単そうでも実際の手続きは意外に困難なものであることが少なくありません。米国での弁護士費用はかなり高いものですから、 弁護士の関与なしに手続きをしてしまいたいという誘惑にかられることも理解できますが、自分でやってみた結果、会社の有限責任性が否認されて、株主に無限 責任が課せられたり、予定通りにビザがとれなくなってしまっては、取り返しがつかなくなります。

米国でビジネスを行うには、弁護士サービスの利用は必要不可欠と考えた方がいいでしょう。したがって、本書の説明も、会社を立ち上げたり、ビザ申請をするにあたって、弁護士に依頼する際に、仕事をスムーズにすすめるための参考にしていただくためのものに過ぎず、“do it yourself”のためのものではありませんので、注意していただければと思います。

それではこの手引きを参考にして皆さんが設立した会社の米国での大成功を祈りつつ、このガイドの締めくくりの言葉とさせていただきます。

提供:JETRO